『 ごはん まだ〜〜〜? ― (1) ― 』
チンすればいいの。 わかるでしょ?
冷凍庫は満杯だからね なんでも入ってるから。
ちゃんと探してね?
野菜庫も補充してあるの。
ね? だから買い物は必要ないわ。
― チビ達のごはん と お弁当、お願いね。
レン・チン でいいから。
今は 美味しいの、たくさんあるし。
洗濯モノ 乾したら取り込むの 忘れないでね??
畳んで。 ちゃんと分けて。
パンツと靴下、一緒の引き出しにつっこまないで。
博士の盆栽にお水! じゃ〜〜 はダメよ きりふき ですって。
あ 庭の花壇にもお水 お願い。
わかった??? ジョー ???
ごたごた ごたごた ・・さんざん細かいコトを言ったあとで
ジョーの 奥さん は 最後にしっかりと念を押した。
「 ・・・え? あ あ〜〜〜 うん わかった〜〜 」
ふ・・・っと我に帰ったカオで 彼はもごもご返事をした。
「 あ 〜〜 荷物 全部持ったかい? 改札まで運ぼうか? 」
「 大丈夫。 このくらい いつも持ってるから。
ね?? キッチンの使用済み布巾とか雑巾も ちゃんと洗って干してね? 」
「 ああ うん ・・・ ワカッタ ・・・
あのさあ バレエ団まで送ろうか? 」
「 大丈夫ってば。 いつもの道順なんだし。
あのね ず〜〜っと音を聞いて 電車で立っているのも準備運動なの。 」
「 ふうん〜〜 」
「 あ いつもの電車 来るわ〜〜〜 じゃ ね〜〜〜 」
「 あ ウン・・・ 行ってらっしゃい フラン 」
「 ばあ〜〜い♪ 」
彼の愛妻は 放り出すみたいに 彼にむかってキスを投げると
肩からデカバッグ 両手に荷物袋 で 大股でがしがし・・駅改札に歩いていった。
は あ ・・・・
う〜〜ん ムカシは 行ってらっしゃいのキス も
してくれたのになあ 〜〜〜
ジョーは 投げられたキスを拾って そっと胸にしまった。
彼は ― というか オトコは 幾つになっても ろまんちすと なのだ☆
彼の細君は あれこれ・なんやかんや細かいコト指示をしていたが。
ジョーは決して 家事・育児に無能なデクノボー男 ではない。
巷では 育休中 ず〜〜〜〜っとゲームをしていただけ なんていう
アホンダラ男もいるらしいが 彼は全然ちがう。
愛妻との間に 双子 が生まれた時 彼は当然育休を目一杯取得し
妻とほぼ同じレベルで 育児に邁進した。
・・・ だってそうしなければ ふにゃふにゃな赤子を二人も
同時に育ててゆくことは不可能だったから ― いくらサイボーグでも・・・
赤ん坊達は タッグを組んで?両親を悩ませた。
一人がやっと寝れば もう片方が目を開ける。
姉のすぴかは カンが強くすぐに目を覚まし大泣きをし
弟のすばるは 頑固でいつまで〜〜〜もぐずぐず・・・泣いていた。
「 ・・・ ジョー 寝て? 」
「 ん ・・・ ああ 平気さ。 ぼくが見てるから・・
きみこそ ちゃんと寝ろ 」
「 だって ジョー 一睡もしてないわ? 」
「 へ〜き へ〜き ぼくを誰だと 」
「 それでもね 眠らないとダメよ。
わたし たくさん眠らせてもらったわ。 さあ 交代しましょ 」
「 でも ・・・ 辛くない? 」
「 平気! 産後検診で三重○ 頂いたのよ? 」
「 あ〜 そっか そうだったよね 」
「 だから ・・・ ね? ベッドに入って。
辛くなったらいつだってジョーのこと、叩き起こすから♪ 」
「 あは 楽しみにしてる〜 うん ・・・ じゃ
ちょっとだけ ・・・ 」
「 はい お休みなさい ジョー♪ 」
ちゅ☆ 小さいけれど甘あ〜〜い キス♪
― こんな 協力的なお父さん でも。
奥さんとしては 家を空ける時には
こまこま・あれこれ ・・・ 言っておかねばならない。
( オトコとオンナの間には 深くて暗い河がある のだよ! )
「 久々の移動公演なの ! 」
先日 フランソワーズは帰宅するなり報告した。
彼女はずっと都心のバレエ・カンパニーに通っているが
最近では ジュニア・クラスの教えに回るコトが多くなってきていた。
「 ほう・・・ 演目はなにかな 」
博士が真っ先に訊いてくれた。
「 あのね、 『 ドン・キホーテ 』 なんです〜〜〜
ほら すごく人数が必要でしょう? で わたしにも出番が(^^♪ 」
「 なにを踊るのかい 」
「 うふふふ 酒場の場面で 美女・メルセデス 」
「 おうおう フランソワ―ズ〜〜 それは 君の当たり役ではないか♪
ヨコハマとかでも 上演せんのかい 観たいなあ〜〜 」
「 うふふふ〜〜 ありがとうございます♪
最終公演が こちらに戻ってきて 県民会館 ですから 」
「 S席 二枚! コズミ君と行くよ 」
「 ありがとうございます。 もちろん 招待席 をご用意しますわ。
チケットを売った なんていったら ウチのマダムに叱られます 」
「 お〜〜 あの御仁もお元気か 」
「 ええ ええ ますます おっかないですけどね 」
「 よいことじゃよ。 すばらしい〜〜 」
「 ふふふ 伝えておきます 」
「 おう 頼む。 ああ またあの格調高いフランス語を
拝聴したいなあ 」
「 あ〜ら わたしの母国語はお気に召しません? 」
「 お前さんのは 今風すぎじゃ ・・・ 」
・・・ こんなやりとりを ジョー君は ぼ〜〜〜っと
聞いていた。
移動公演・・・? ってことは ・・・
あ 一週間くらい留守ってことだよなあ
! チビ達の御飯 と 弁当〜〜〜〜
お〜〜し♪ 久々 おと〜さん の出番だ♪
愛妻はウチを空けるけれど ジョーはチビ達とすごす数日に
も〜〜 わくわくしていた・・・!
― そして ジョー君の細君はこまこま・ごたごた・・・
< 伝達事項 > の口述し 意気揚々と出掛けていった。
「 いってらっしゃ〜〜〜い ・・・
え〜と ・・・ 帰ってまずするコトは ・・・
あ 博士の盆栽に水やる だな。 あの如雨露でいいんだろ 」
・・・ やっぱりな〜〜〜にも聞いていない ・・・
偶然というか たまたま博士のアメリカ出張が急遽決まった。
先方からの 是非に、とのご招待であるし
現地ではジェロニモJr がしっかりフォローしてくれるので安心だ。
「 ジョーよ ・・・ 大丈夫か ?? 」
「 博士〜〜 ご心配なく。 チビ達はもう中学生ですし 」
「 いやいや お前さんのことが心配なんじゃ。
子供たちに 余計なコトをさせるなよ 」
「 はあ ・・・? 」
「 あいつら、もうなんでも出来るんだ。 心配はしておらんよ。
いいか? 迷惑 掛けるなよ、 父さんや 」
「 ・・・ はあ ・・・・ 」
博士も 散々念を押してから出発して行ったけれど ―
う〜〜ん ・・・?
博士ってば相変わらず心配性だなあ・・・・
大丈夫。 チビ達には!
ぼく という頼もしい父親がついてますよ〜〜ん
・・・ やっぱり な〜んにもわかっていない ・・・
「 ただいまあ さあ〜〜 朝ご飯だよ〜〜 」」
ジョーはフランソワーズを地元の駅まで送りご機嫌ちゃんで帰宅して
ご機嫌ちゃんで玄関のドアをあけた。
・・・・・ ・・・・・ ( し 〜〜〜〜 ん )
家の中は ― 静まりかえっている。
「 ? ただいまぁ〜〜〜 すぴか〜〜〜 すばる〜〜〜〜 」
玄関の隅には すぴかのスニーカーが 跳ねてるし
その隣には きっちり。すばるのスニーカーが鎮座している。
「 すぴかは 朝練があるんじゃなかったかな〜〜〜
お〜〜い ただいま〜〜〜 」
ジョーは リビングに向かって声を張り上げつつ靴を脱いだ。
― リビングには 誰もいない。
キッチンにも 人影は 見えない。
あ〜 まだ 二人とも寝てるのか??
おし。 それじゃ !
「 お〜〜い すぴか すばる 起きろぉ〜〜〜〜 」
「 なに。 おと〜さん。 朝からウルサイよ 」
ポン。 すぴかが ジョーの前に朝刊を差し出した。
「 あ しんぶん ・・・ すぴか もう起きてたのかい 」
「 アタシ 毎朝 走ってるの。 もうずっと 」
「 へ え・・・ すげ〜な〜〜〜 さすがバスケ部〜〜
あ す〜〜ばる〜〜〜〜〜〜 起きろ ぉ? 」
ジョーが 二階に向かって声を張り上げた時 ―
カタン。 キッチンから音が聞こえた。
「 掃除 完了。 なに 父さん 朝っぱらから大声で 」
勝手口から すばるが箒と塵取りを持って入ってきた。
「 すばる・・・ え そうじ?? 」
「 庭掃除 ― おじ〜ちゃまから頼まれてんだ。
ついでに 朝メシ用に ミニ・トマト 採ってきた 」
「 へえ ・・・ 」
すばるは きっちり庭サンダルの泥を落とすとキッチンに上がった。
「 これ。 ちょうど食べごろだよ 」
「 お ミニ・トマトかい いいね〜〜〜 温室では
今は なにが旬なのかい 」
「 温室に旬 はないよ。 俺 手、洗ってくる 」
彼は 淡々とバス・ルームに消えた。
ひょん・・・と跳ねてるクセッ毛を揺らしつつ。
あは ― アイツら、早起きなんだ?
ふ〜〜ん ・・・
あ そっか〜〜
いつもは ぼくが 朝・最後尾 だもんなあ〜〜
「 さ〜あ すぴか すばる。
朝ご飯つくるぞ〜〜 ・・・ あれ? 」
キッチンのテーブルには 家族分のオムレツがお皿に乗っていた。
チンしてね ― メモつきだ。
「 あ フラン 作っていってくれたんだ? 」
「 ・・・ お母さん ってさ。 すごいよなあ〜〜 」
すばるが オムレツの皿を前にしみじみしている。
「 うん フランのオムレツって最高だよな〜〜 」
「 それは当然だよ。 フランス人なんだぜ? お母さんは。
それよか ― 出掛ける朝にさ 荷物いっぱい持って出る朝にさ
きっちり洗濯機、回して 朝メシまで作って さ。
それも家族全員分 だぜ? 」
「 ・・・ あ〜〜 うん まあ そうだなあ 」
「 父さん。 ものすご〜〜〜く感謝しなくちゃいけないよ?
あんな <奥さん> イマドキ貴重なんだよ?
わかってる?? 」
「 わ わかってるさ〜〜 お前よか お前の母さんとの付き合いは
長いんだからな お父さんは。 」
「 ・・・ ふん 」
ジョーのズレまくった言い分に すばるは仕方ね〜な・・・と
ため息をついただけ。
「 ― 朝メシにするよ。 父さん コーヒー淹れて。
そのくらい出来るだろ? 」
「 お おう! 当たり前だ 」
「 すぴかは早くでるから。
それから 後片付け ちゃんとやって。
キッチンのシンクに水滴、残さないでくれるかな 」
「 ― わ わかった ・・・ 」
「 あ〜 あと ・・・ 風呂とトイレ掃除。
父さんの担当だろ? しっかりやっといて 」
「 お おう ・・・ 」
「 じゃ オレ ちゃちゃっと弁当、作るから。 」
「 あ ・・・ 頼む。 ありがと すばる 」
「 お〜〜♪ 」
不可思議なウェインクを残し ― すばるは チビの頃から
ウェインクが苦手 ― 冷蔵庫に首を突っ込んだ。
ふ〜〜ん ・・・・
ま 頼りになる ってことかぁ
すばるの料理好きは ぼくの遺伝だな〜〜
ふっふっふ〜〜〜
フランの留守は お父さん料理 で いぇい♪
ひじょ〜〜に 楽観的に ジョーはもうにまにま・・・していた。
― そんな具合で お母さんの留守 な日々が始まったのである が。
「 ・・・ あ〜。 チンするからいいよ〜 」
「 オレ やるから。 いいよ。 父さん 手ぇださんで ・・
あ キッチン 汚さんでくれる? 」
ジョーは 張り切って < お母さん > の仕事を引き受けるつもり
だったのだが。
キッチンに立つなり どの作業もあれもこれも やんわりと断られてしまうのだ。
「 う〜〜 ・・・ メシを作ろうとしたんだけどぉ・・・
あ そうだ! すぴか〜〜 お弁当、いるんだろ?
部活のある日は 充実したモノがいいかな〜〜?
リクエスト あるかい? 」
彼は気を取り直し バスケ部の娘に声をかける。
「 お弁当? いい いい。 コンビニ・ランチ 買うし。 」
「 オレ、作るし。 すぴか〜〜 弁当、持ってけよ
この前のお握り弁当、どう? 」
「 わお♪ サンキュ すばる〜〜 アイス、おごる 」
「 へへへ〜〜 やったね♪ 」
「 すばるのお握り 超〜〜ウマ☆ ボリュームもあってさあ 」
「 ふっふっふ〜〜 オトコのチカラで ぎゅ! だからな 」
「 海苔で真っ黒 がいいな 」
「 了解〜〜 あ オレ チョコ・ミント いい? 」
「 おっけ〜〜 スーパーカップ ね! 」
・・・ なあんて 姉弟の間で 完結 してしまっている。
つまり おと〜さんの出る幕はない。
「 おいおい お前たち。 弁当を持たせてってお母さんが・・・
頼む〜〜 リクエスト してくれ。 なんでも作るから 」
「 あれ〜 父さんもほしい? 弁当。 」
「 え ・・? まあ そりゃ 」
「 じゃ もういっこ つくっとくから。 持っていって。
あ 〜〜 それと! 会社でさ 弁当箱 ちゃんと 洗っといて! 」
「 あ ・・・ うん ワカリマシタ 」
「 頼むよ〜〜〜 後の処理が全然楽なんだ 」
「 すばる〜〜 アタシ お茶も欲しいな〜〜 」
「 おっけ〜〜 あ 熱いほう? 」
「 ウン。 部活の水分は 別にペット・ボトルで用意するからさ 」
「 保温水筒、一緒に置いとくから。 そんでさ 飲み切ったら 」
「 へいへい ちゃんと洗っておくってば 」
「 サンキュ。 あ 父さんも ね! 」
「 あ ・・・ う うん ・・・
( え〜と? 弁当箱以外 なにを洗うのかなあ・・・? ) 」
・・・ やっぱり な〜んにも きいてない ・・・
― つまり
チビ達 − いや 中学生になったムスメとムスコは
もうそれぞれ自分たちのペースで 日々を送っているのだ。
おか〜さ〜〜ん ・・・・ ううう
ねえねえ おか〜さん いつかえってくるの
・・・ おか〜さんの むしぱん たべたい・・・
ねえねえ おと〜さん、おか〜さん にでんわして〜〜〜
・・・ 僕 ひとりでねれない ・・・ おか〜さ〜〜ん
母の留守の時 二人して涙目で父に纏わりついてきたのは
ついこの前なのに・・・
「 ・・・ あ〜あ ・・・ あの頃は可愛いかったなあ ・・・
フランが留守の夜は三人で川の字で寝てさ ・・・ 」
ジョーは 両側からくっついてくる温かい存在が
もう 涙がでるほど愛しくて可愛くて ― 感動に震えていたものだ。
あ は ・・・ あったか〜〜〜い ・・・ !
うふふ これが 家族の温もり なんだよなあ〜〜
赤ちゃんの頃は もうてんやわんやで大変だったけど
今 こ〜〜〜んな プレゼント を貰ってる・・・
ああ ああ ぼく シアワセ だ・・・ !
ジョーは 心底 ほ・・・・っんとうに 幸せ を噛み締めていた。
メディアで とあるコメンテーターが言っていた。
「 ムスメを持つとね 10年くらいは天国ですよ 」
ジョーは その意見に激しく同意し そしてその < 天国 > を堪能した。
ムスメとムスコ そして 彼の奥さん は 彼にとって
唯一無二のタカラモノであり 命を掛けて護る! と誓っていた。
いま 彼のムスメは ( ムスコも! ) 中学生〜〜〜
思春期 に突入したので ある。
「 ふん。 それでもまだまだコドモだからな。
ここはビシっと。 激ウマ晩御飯 を作って 父親の威厳を
見せつける、 うん ! 」
カチャ ・・・ カタ カタ ・・・
ジョーは皿やカップを洗いつつ あれこれ・・・思索していた。
激ウマ晩御飯 ― とは なににするか??
「 う〜〜ん 今までで人気の献立って ・・・ う〜〜ん? 」
カレーやシチュウ、スパゲッティ が 大人気だったのは
どこのご家庭とも同じ。 でもそろそろ 彼らは卒業し始めている。
「 でもなあ〜〜 アイツら もう中学生だし・・・
あ〜〜 焼肉か? ・・・ 家庭料理 じゃないよなあ
アレって素材で勝負ってカンジだもんなあ ・・・ 」
きゅ ・・ きゅ きゅ きゅ ・・・
布巾で丁寧に食器を磨き シンクも拭いた。
「 う〜〜〜む ・・・? ちょい手が込んでいて 皆が好きって・・・
あ〜〜〜 やっぱ ハンバーグ か な 」
じゃぶじゃぶ ぎゅ。 布巾と雑巾を洗い 窓辺に乾した。
「 うん。 そうだ! ハンバーグ ・・・ !
しっかり練ってウマ〜〜いの、作ってやるぞ〜〜〜〜
挽肉は・・ あるな。 あと タマネギに〜 ニンニク。
えっとぉ〜〜 おっと レシピ 確認だあ 」
ジョーは 濡れてた手をエプロンで拭くと 得々として
スマホを取りだした。
・・・ あのハンバーグ ・・・
めっちゃウマ だったよなあ
ふふふ ・・・ フランと一緒にさ〜〜
このキッチンで 奮闘したんだよね
手にはスマホ けど 彼の目線は中空に向けて ほわ〜〜〜〜ん
と 遠い目 ・・・ 甘あ〜〜いムードになっていた。
― それは まだ彼らがこの邸に住みついて日も浅いころ。
( 当然! 二人は ただの同居人 だったころ )
ある日 博士は外出、仲間うちの頼りになる料理人・張大人 は
超〜〜多忙 ― 食材だけを届けてくれていた。
「 晩ご飯 どうするの? 」
フランソワーズは少しばかり 心配そうな顔だ。
「 あ ぼく つくる ・・・ 」
「 メニュウは なあに 」
「 ・・・ あ〜〜〜 あ は はんばーぐ! 」
「 え!? ジョー ・・・ できるの??? 」
「 あ〜〜〜 うん ・・・ 学校の調理実習でやったし
施設ではね 食事当番 があって 寮母さんの手伝い した。 」
「 まあ そうなの?? すごいわねえ 」
「 材料は 張大人が届けてくれたし〜 」
「 そう? でも 何を作るの?? 買い物、行きましょうか? 」
「 ぼく 一応買ってきたよ〜〜〜 ほら。」
合い挽き肉 タマネギ ニンニク は 大人から。
二ンジン シイタケ ジャガイモ インゲン は
海岸通り商店街 でジョーが買ってきた。
「 ・・・ にんじん もいれるの? 」
「 あ それは付け合わせ ・・・ のつもり 」
「 わたし ― 作ったこと ないの・・・
晩ご飯は たいていお兄ちゃんが作ってくれて 」
「 へえ ・・・ いいなあ〜 いいお兄さんなんだね 」
「 わたし オムレツ しかできないのよ〜〜
それにね ダイエットで サラダとかチーズくらい で ・・・ 」
「 え〜〜 ちゃんと食べようよ? きみ 細いじゃん?
大丈夫。 ハンバーグなら そんなにカロリー高くない・・・ はず 」
「 ふうん ・・・ どうやるの? 」
「 一緒にやろう よ 」
「 うん ♪ 」
二人してエプロンをしてキッチンに並んだ。
「 ニンニク と たまねぎ は みじん切り。 」
「 ・・・ こまか〜〜く切る ってこと? 」
「 そ! これはさ〜〜 寮母さんに特訓されたんだ〜〜 」
ダンダンダン ザクザクザク −−−−
「 すご〜〜〜い ジョー・・・ きゃ 目が ・・・ しみるぅ 」
「 あは 離れてなよ〜〜 これをね フライパンで 」
「 あ やるわ〜〜 どのくらい? 」
わいわい きゃらきゃら ごとごと ジュ〜〜〜〜〜〜〜
大騒ぎして ボウルの中身を飛ばしちゃったり コネコネしすぎたり
水分が足りなくて ちょびっと牛乳を足したり ・・・
― なんとか それなりのカタチにしたものを フライパンに入れた。
「 ・・・わ〜〜〜 焼けてきたわ〜〜 いい匂い(^^♪ 」
「 うん はんばーぐの匂いだあ〜〜〜 」
「 ね ね? あと どのくらい?? 」
「 えっと ― 焼き色つけてから フタして弱火 ・・・って 」
「 ?? それも教わったの? 」
「 あは さっきね〜〜 本屋で < 自炊入門 > っての、
立ち読みしてきた〜〜 」
「 そうなの?? わ〜〜〜 ね〜〜〜 美味しそうよぉ〜〜
」
「 うん ! もう いっかな〜〜 」
「 あ 待って 待って〜〜〜 大きなお皿 持ってくるわ! 」
「 サンキュ〜〜 えっと この焼き汁にソースとケチャップ〜 」
「 ?? まだ何かつくるの? 」
「 これ、ソースにするんだ。 じゅ〜〜っと煮詰めて〜〜 」
「 あ!!! また いい匂い(^^♪
」
さあ できたよ〜〜〜〜 きゃあ〜〜〜
あの頃。
手が触れあっただけでもドキドキしていた彼女と二人で
初めて作ったハンバーグ は もう〜〜めちゃくちゃ美味しかったっけ。
「 ・・・ うん! アレだ! あのハンバーグを作るぞ〜〜
そして チビ達に教えてやるんだ。
父さんと母さんが一緒に作った激ウマ・ハンバーグ だよ って! 」
ジョーは もう 勇気凛々 やる気満々 意気揚々 ・・・
「 えっへん。 父親の威厳をしっかり見せつけるのだぁ 」
Last updated : 05.09.2023.
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********* 途中ですが
かる〜〜く読み流す用 です ・・・
あ 【島村さんち】 シリーズ です。